無対象の造形

画家カンデインスキーが推進した無対象絵画(抽象絵画)の考え方が、立体の場合はどんな現れ方をしたのか興味のあるところです。ロダンのもとを離れたブランクーシあたりが抽象彫刻の草分けでしょうか。バウハウスが抽象要素のある立体構成を導入したのでしょうか。ともあれブランクーシに見られる永遠の柱は、完全な無対象造形としての考え方をもっていると言ってもよいと思います。自分の制作する彫刻もこうした無対象の構成に基づいています。単純化した形態を構成要素として再構築する作業をしていて、小さなカタチで集合体を組んで、置かれる空間を意識した作品を作りだそうとしているのです。自分の作品に対する考え方を整理し確認するために、このところカンデインスキーを初めとするドイツ表現主義の考え方に、自分は接近しているのだと思います。                         Yutaka Aihara.com

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