彫り跡の気持ちよさ

昨年も同じ傾向の木彫作品を作っていました。柱を組み合わせる作品は今年2年目。彫り跡をどこまで残すかを考えていると、昨年の記憶が甦ります。ざっくりした感じを出すため、表面は出来る限り彫り跡を残し、ささくれだったところだけ処理する方法を今年もやっています。滑らかにしてしまうと工芸品のようになってしまい、彫刻としての立体感が薄れます。陶彫の方は粘土に残った手の跡を消してしまうのに対し、木彫の方はわざわざ手の跡を残します。これは彫り跡の気持ちよさがあって、これを潰してしまってツルツルにしてしまうのがもったいないと思うからです。陶彫はブロックのように組み合わせる関係で、ひとつひとつの面が整理されていないとうまくいかないのです。木彫は組み合わせ方が異なり、柱の一本一本が独立した作品としてみることができるため、彫り跡の気持ちよさを残すようにしたのです。Yutaka Aihara.com

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