「穴」の造形

365点の連作を始めて8ヶ月目。今月はずっと「穴」をテーマにした作品を続けています。ポストカード大の平面に一日一枚ずつ何かを表現しているわけですが、9月1日に穴を穿った矩形をペンで描いたのがきっかけで、以後今まで様々な穴のある作品を描いてきました。実際に彫刻で穴を扱った作家は多く、たとえば穴と言うより内部空間と言った方がふさわしいヘンリー・ムアや穴に意味を持たせた堀内正和、飯田善国。全員故人となってしまいましたが、「穴」には不思議な魅力があるので、今まで数多くの作家が扱ってきたテーマなのではないでしょうか。セクシュアルな意味もあり、覗く、引き込まれるといった生理的な感覚と結びつくものではないかと思います。自分にとって「穴」とは何か。空虚を感じさせる要素のひとつです。たくさん穴を穿つことで物質ががらんどうになっていくのに魅力を感じています。でも365点の連作はそろそろ「穴」から別の世界へ展開しなければなりません。                             Yutaka Aihara.com

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