シュテファン・ツヴァイクの著作

ウィーンで暮らしていた20数年前、人から勧められた文庫本を数冊手に入れました。シュテファン・ツヴァイク著「マリー・アントワネット」「ジョセフ・フーシェ」。翻訳本の中では、このノンフイクションが最高に面白く、昼夜を分かたず読み通してしまった思い出があります。ウィーンという周囲の環境が影響したこともあったのでしょう。臨場感があって、たちまち虜になってしまいました。ノンフイクションとはいうものの、まるでフランス史を見てきたかのような表現。とくにジョゼフ・フーシェは歴史に中に登場する人物としてはマニアックで、ツヴァイクの創作的な部分もあろうかと思われます。でもリアルで説得力のある表現は、歴史の持つ面白さを巧みに引き出し、一気に読み終わるまで余裕を与えてくれません。そんな表現世界と再び出会ってみたいと思うこの頃です。

関連する投稿

  • 「心の旅人ケルト」について 「呪術としてのデザインー芸術民俗学の旅」(中嶋斉著 […]
  • 創作絵本「ウド」の思い出 学生時代、彫刻を学ぶ傍らビジュアルな表現に興味を持ち、手製の絵本を作りました。当時好きだったドイツ表現派のモノクロの木版画を発想の源にして、数ページにわたる創作話を考え、文字のない絵本にしようと企画 […]
  • 「言語都市・ベルリン」を読み始める 「言語都市・ベルリン」(和田博文・真銅正宏・西村将洋・宮内淳子・和田佳子共著 […]
  • 芸術家宅を訪ねる随想 「瀧口修造全集1」に収められている「ヨーロッパ紀行」の中に、ダリを訪ねた時の随想が載っています。アトリエの中の描写やダリの人柄に、ほんの少しばかり親近感が持てるような気になります。スペインの海辺のア […]
  • 「ウィーン工房」について 今夏、岐阜県高山市の美術館で見たウィーン工房の部屋。家具や椅子等の収められた空間に懐かしさを覚えました。自分がウィーンに滞在したのは1980年から85年までの5年間でした。ウィーンに行くまではウィー […]

Comments are closed.