浜田庄司の大皿

栃木県益子に行き始めた頃は、よく益子参考館を訪れました。角に大手陶器販売店ツカモトの支店がある三叉路を共販センター方面ではなく、反対側にある小さな小道を入っていくと、まもなく大きな日本家屋の立派な門が現れ、その奥にさらに大きな母屋があります。それが益子参考館と言われる浜田庄司の仕事場兼住居だったところです。その規模に驚き、仕事場の雰囲気に憧れてしまいます。また登り窯の様子がよく伝わるように保存されて、まさに当時を偲ばせる場所になっています。浜田庄司は肉厚のおおらかな大皿に釉薬を流しがけて飴色に焼く、いわゆる現在でもよく目にする益子焼のカタチを作った人です。益子焼が現代工芸の中でも温かい民芸としてポジションを与えられているのはこの人の功績と言っても過言ではありません。最近は人の案内でしか行かなくなってしまった益子参考館ですが、たまに訪れ、母屋にある喫茶店でコーヒーをいただくと、とても優雅で豊かな気持ちになれます。

関連する投稿

  • 窯を開ける瞬間に思うこと 陶彫制作の最終段階である焼成。窯に作品を入れた時から、窯の中が気になって仕方がないのです。今回の窯入れは、自分の作品では最大の大きさで、窯内に隙間がほとんど出来ません。しかも乾燥中にヒビが数箇所見つ […]
  • トレーニングに関する雑感 スポーツにはトレーニングがつきものですが、創作行為や物事の発想にもトレーニングが必要だと感じます。創作における日々のトレーニングは、イメージ力を高めると確信しています。私の場合のトレーニングはREC […]
  • 金沢の「工芸未来派」展 今夏、石川県金沢に出かけた目的のひとつは金沢21世紀美術館を見てくることでした。昔、金沢を訪れた時には金沢21世紀美術館はありませんでした。美術館は兼六園に近い場所にありました。円形をした開放的な建 […]
  • 陶のピラミッド 制作への思いが募っているところに、今日の涼しさ…。まさに制作しやすい環境になってきたようですが、この涼しさはずっと続くのでしょうか?猛暑に慣れてしまった身体には寒ささえ感じる涼しさです。いよいよ秋が […]
  • 本阿弥光悦の仕事 東京国立博物館で開催されている「大琳派展」で、本阿弥光悦の作品をじっくり味わう機会がありました。書家として知られる光悦ですが、陶芸や蒔絵硯箱等の作品を見るにつけ、光悦が今でいうアートデイレクターのよ […]

Comments are closed.