「構築〜包囲〜」の反省

昨日終了したグループ展に出品した「構築〜包囲〜」は囲むカタチを表そうとしたものです。昨年からブログに折に触れて製作途中の状況を書いてきました。その際、作品仮題を「囲むカタチ」としていました。つまり外から内へ何かを取り込むように構成した作品を想定していたのです。展覧会に来られた方々から、かなり好感を持たれましたが、柱が30本林立している景観に関した感想ばかりで、全体としての構成要素はなかなか理解してもらえませんでした。内なる空虚を包囲したイメージをきちんと伝えられていないのに気がついて、これが課題として残りました。柱の角度かもしれません。とくに中心にある短めの柱は力学的な構造上あの角度にしなければならず、美術的な計算はありませんでした。その中途半端な角度が天空の中心に向かう緊張感を演出できなかったと思います。ちょっとした手直しで済むことではないので、これを次作に生かして、来年は緊張感のある空間を創出したいと願うばかりです。

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