立体作品の絵画的要素

自作の「構築〜包囲〜」は厚板に砂を硬化剤で貼りつけ終わり、いよいよ次の段階に入りました。この砂の面に油絵の具を染み込ませていく作業です。これは油絵の具を均一に塗る作業ではなく、色彩を調整しながら最初に思い描いたイメージに近づけていきます。自然に風化して色が変色したような壁を作る作業です。最終的には立体作品になるのですが、現段階では絵画的な仕事です。「発掘」シリーズでも陶彫を設置する台座(あるいは作品の一部)に砂と油絵の具による壁を表現しました。砂の微妙な凹凸面に染み込んだ絵の具がマット状になる効果が大変気に入っていて、絵の具の塗り方も考えます。アクションペインテイングをやってみたり、霧吹き状に絵の具を散らしてグラデーションを作ったりします。いつ終わるとも知れない作業が続き、平面上での実験を繰り返しています。立体と平面の両方から作り上げる作品ですが、見極めが難しいところです。

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