オルブリッヒのセセッション館

昨年のブログに、ウィーン美術アカデミーの窓から、鉄製の植物を模った球体のオブジェをのせた不思議な建物が見えていたと書きました。このブログでウィーン分離派のことにも触れたと思いますが、この分離派の中心的な活動の場であったセセッション館は、オットー・ワーグナーの弟子ヨゼフ・マリア・オルブリッヒの作品でした。自分がウィーンに行った当時は改装のためセセッション館は閉鎖されていました。分離派にもオルブリッヒにも予備知識がなかった自分は、この不思議な建物に興味津々でした。まもなくセセッション館の壁面を飾るクリムトの大作「ベートーベン・フリーズ」の修復が終わって、内部を見ることができました。アールヌーボー様式とはいえ簡素な空間で、ギャラリーとしてはなかなか優れた空間ではないかと思いました。当時はクルムトやシーレ、ワーグナーらが集い、革新的な展覧会があったことを思いながらセセッション館内を巡ったことを思い出します。

関連する投稿

  • ウィーンの映像が流れて… ウィーンの映像が流れていました。今晩のNHK「新日曜美術館」で取り上げていたウィーンが美の都たる所以。ハプスブルグ家が収集した多様な美術品。自分は1980年から85年の5年間をウィーンで暮らしていた […]
  • グスタフ・クリムト 世紀末ウィーンの美術界で活躍した画家です。作品はベルベデーレ宮殿内のギャラリーにありました。ウィーンではあまりにも有名な画家で、作品を絵葉書やポスターにして街のあちこちの土産物店で売っていました。刺 […]
  • E・フックスの銅版画 ウィーン幻想派の画家の中で、ウィーンの街中のギャラリーに作品があるのがE・フックスの銅版画です。フックスは煌びやかな油彩画を多く描いていますが、モノクロの銅版画にも力量のある画家だと思います。フック […]
  • 「描かれた空想美術館」を読んで 昨日は何故ホルスト・ヤンセン展の回想を書いたかと言えば、今読んでいる種村季弘著「断片からの世界」にヤンセンの評論が掲載されていて、20数年前にウィーンで知った卓越した素描画家の様々な面を知ることがで […]
  • ウィーン美術アカデミーのボス 昨日ボスに纏わるブログを書いていて、ボスの絵との出会いを思い返してみました。1980年に自分はウィーン美術アカデミーに入学しています。でもその頃は、アカデミーから歩いて10分のところにあるウィーン美 […]

Comments are closed.