赤テントに通った日々

大学生の頃、何となく怪しい雰囲気に誘われて、新宿花園神社に忽然と現れた赤テントに通いました。初めて観た時から、唐十郎率いる状況劇場で繰り広げられるドラマに魅了されていました。矢継ぎ早に発せられる台詞と不条理な展開。何かやりきれない当時の気持ちにピッタリきていました。あの頃は李礼仙や根津甚八、小林薫などが出演していました。テントの中に敷かれたムシロにぎゅうぎゅう詰めで座り、レトロな音響と大振りな演技で摩訶不思議な世界に引き込まれていきました。劇の途中でテントがめくられ、新宿のリアルな風景が現れると、劇と現実の境がなくなって妙な気分になったことを覚えています。状況劇場は夢の島や大久保でテントを立て、その度に大学の工房から出かけていきました。大学では石膏の臭いが衣服にしみ込み、テントに入ると舞台の臭いがそこに加わっていました。

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