鉈彫りに思う

「一木にこめられた祈り 仏像展」の中に鉈彫りで出来た仏像が何点かありました。制作途中と言うより、丹念な制作を終えてから敢えて鑿で跡を残したようです。鑿跡が同じ方向に整っていました。どうして鑿跡をそろえなければならないのか、どんな効果があるのか、あまりに様式化していて彫刻として見ると理解に苦しむところです。荒彫りの段階では鑿跡はそろわず、むしろ形に添って出来ています。ちょうどデッサンに陰影をつける時のハッチングのような具合です。今、自分の木彫ではこの荒彫りのタッチをある程度残した状態で仕上げたいと考えています。仏像展の鉈彫りは自分としてはあまり興味を持てませんでした。荒彫りの状態であっても表現としてはストレートに伝わると考えています。立体がごつごつ浮かび上がる表現が自分の作品には適していると思っています。仏像展では円空の鉈彫りに説得力を感じました。

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