ボトルバの教会を見る

ウィーンの彫刻家ボトルバの建てた教会は、大きなオブジェが大地にあるといった存在感で、とても教会とは思えませんでした。コンクリート打ちっぱなし、板材を様々な角度で構成した建造物で、なにか近未来的な生物のようでした。中に入ると宗教色は薄く感じ、むしろ思索的な空間が広がりました。これだけ斬新でありながら、決してカタチは挑発的ではなく、自然なリズム、ボトルバ流ともいうべき律動を感じました。この教会が建った時の周囲の住民はずいぶん驚いたに違いないと思いました。今はどうなんだろう、日曜には老若男女がここに礼拝に来るのだろうか、いろいろな思いを馳せながら、教会を後にしました。

関連する投稿

  • 「神と人を求めた芸術家」 表題はドイツの近代彫刻家エルンスト・バルラハのことを取り上げた「バルラハ~神と人を求めた芸術家~」(小塩節著 […]
  • ドイツ映画「メトロポリス」 フリッツ・ラング監督の残した近未来映画で、現在でもレンタルビデオショップにあります。昨日のブログに書いた「カリガリ博士の箱」と同じドイツ表現主義を代表する映像作品です。20数年前に滞在したウィーンの […]
  • ウィーン分離派と邦人建築家 ウィーン分離派は、自分にとってどのようなものかを考えてみると、予備知識もないままウィーンに住んで初めて知った革新的な芸術運動で、その美的なるものに感動を覚えたのが分離派でした。現代は芸術の捉え方、表 […]
  • アールヌーボー様式 ドイツ語ではユーゲントステイールと言っていました。20世紀初頭に流行した美術様式で、建築から工芸品にいたるまで、それとわかるフォルムをしています。植物の葉・茎や蔦の曲線をデザインに取り入れて、自然に […]
  • アールデコ様式 自分の作品が具象傾向から抽象化していく過程で、歯車という具体的なイメージを使ったのは、あるいは本当の意味で抽象化と呼べるかどうかわかりません。ウィーンではアールヌーボーやアールデコ様式がよく目につき […]

Comments are closed.