彫刻を学び始めた頃,その後
2006年 7月 29日 土曜日
今読んでいる本は保田龍門遺稿「自画裸像」です。大学で彫刻を学び始めた頃、同大にいられた保田春彦先生にご挨拶すらできなかった理由は、先生の御尊父が保田龍門で、父子ともに自分にとってみれば雲上の人に思えたからです。自分が彫刻に目覚めたきっかけになった人は荻原守衛です。守衛と同じ志をもった保田龍門の作品にもすごい気骨があって真摯なものを感じていました。遺稿を読むと、その時感じたものが間違っていなかったと思います。貧困の中で美を享受できる喜び、造詣の深さ、その精神性において自分の姿勢が足元にも及ばないことを痛感しています。春彦先生にも堅固な造形があって、やはり近づき難い存在です。当時、そんな精神性を持ちつつ自由な発想と楽しさに溢れる作品を発表していた師匠を自分は選びました。それが池田宗弘先生です。池田先生は保田先生に負けず劣らず難しい気性の持ち主ですが(すみません)、自分にない軽やかな発想と頑固な姿勢が大変気に入って、この先生について徹底的に学ぼうとしたことを思い出しています。
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Tags: 作品, 彫刻, 書籍, 芸術家
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