Archives for posts tagged ‘留学’

カール・コーラップの世界

ウィーン幻想派画家やフンデルトワッサーほど国際的な名声を得ていないので、カール・コーラップを日本で知ることはありませんでした。20数年前にウィーンにいた頃、コーラップのタブローや版画を多くの画廊が扱っていて、ウィーン市民 […]

軽妙洒脱な手紙から

故ドイツ文学者の重厚な評論を読んで、20数年前暮らしていたウィーンに思いを馳せている時に、やはりウィーンで知り合ったエッセイストのみやこうせいさんから軽妙洒脱な手紙が届きました。太めのペンで書かれた手紙はパソコン全盛の時 […]

「描かれた空想美術館」を読んで

昨日は何故ホルスト・ヤンセン展の回想を書いたかと言えば、今読んでいる種村季弘著「断片からの世界」にヤンセンの評論が掲載されていて、20数年前にウィーンで知った卓越した素描画家の様々な面を知ることができたからです。著書には […]

「仮面の迷路歩行者」を読んで

表題は種村季弘著「断片からの世界」に収められているR・ハウズナーに関する評論です。R・ハウズナーに関しては、今年初めのブログ(07.1.19)にご本人を美術アカデミーでお見かけした時のことや絵の印象などを自分なりに書いて […]

シュテファン・ツヴァイクの著作

ウィーンで暮らしていた20数年前、人から勧められた文庫本を数冊手に入れました。シュテファン・ツヴァイク著「マリー・アントワネット」「ジョセフ・フーシェ」。翻訳本の中では、このノンフイクションが最高に面白く、昼夜を分かたず […]

トイレという名の快適空間

ヨーロッパ各国からトルコへ旅した時に、便器のカタチが国によって変化していくのを見て、その国の人々の生活や文化をトイレを窓口にして語れるのではないかと思ったことがあります。洋式と和式が違うように、国によってトイレは様々な形 […]

飯田善国「見えない彫刻」

最近急逝された現代彫刻家の飯田善国さんが出版したエッセイを、埃をはたいてパラパラ貢をめくって見ています。1977年に購入しているので、手許にあるのは初版です。自分がちょうど大学生の頃で、この本によって現代彫刻のことや海外 […]

デイータ・ロンテ「石のコトバ」

海外で生活していた頃に購入した「STEINSPRACHE」という写真集があります。ドイツ語を和訳すると「石のコトバ」。繰り返し見ているので、表紙が黄ばんできています。ただイメージを掴むには大変いい写真が収められているので […]

舞台・ベルリン

ドイツの第二次大戦の話ばかりブログで書いていますが、表題の本「舞台・ベルリン〜あるドイツ日記1945/48〜」は、1985年自分がウィーン生活を切り上げて帰国した頃に読んだものです。ウィーン生活がまだ生々しい時に、この本 […]

ウィーン美術アカデミーのボス

昨日ボスに纏わるブログを書いていて、ボスの絵との出会いを思い返してみました。1980年に自分はウィーン美術アカデミーに入学しています。でもその頃は、アカデミーから歩いて10分のところにあるウィーン美術史美術館で、ブリュー […]

大内宿に纏わること

福島県南会津郡下郷町にある大内宿は数回訪れています。最初はずい分前になりますが、豪雪の積もる大内宿に車のタイヤを滑らせながら入りました。奥深い里という印象でした。自分の出身校には民俗学研究室があって、民俗学者として名のあ […]

ギリシャのルーマニア人

表題はみやさんの著作「ルーマニア 人・酒・歌」にある抄です。ギリシャの遊牧の村の記憶を昨年のブログに書きました(2006.9.13)が、これもみやさんの著作によって、かなり鮮明な記憶が戻りました。あそこは直系ルーマニア人 […]

「ルーマニア 人・酒・歌」を読んで

みやこうせい著「ルーマニア 人・酒・歌」を読んで、当時みやさんに案内されたルーマニアのマラムレシュが甦ってきました。この本を読む前は自分の記憶を頼りにブログにルーマニアの思い出を綴ってきました(2006.9.7)が、本の […]

「ルル」表現主義によるオペラ

ウィーン滞在が5年に及び、その間暇に任せてオペラをほとんど毎晩観ていました。パンフレットは百冊を超えました。だんだん音楽が楽しくなっていき、一端の音楽評論家よろしく今晩のオペラはどうのこうのと人と喋れる自分が信じられない […]

「エレクトラ」の壮絶な復讐劇

昨年11月13日付のブログに今日書こうとした内容がありました。この「エレクトラ」はウィーンで初めて観たオペラで、上演時間が短いにもかかわらず、旋律が理解できずに退屈さえ覚えてしまったものです。幕が上がるといきなり激しい旋 […]

「椿姫」の豪華な宴

散りばめられた有名な旋律、華麗な舞台、男女の葛藤、どれをとっても楽しめるオペラと言えます。パリの社交界で繰り広げられる豪華な宴は、女性の衣裳を見ているだけで、その雰囲気は容易に想像がつきます。ウィーン国立歌劇場で観た「椿 […]

「アイーダ」の凱旋シーン

ハリウッド黄金期の映画「十戒」や「クレオパトラ」を彷彿とさせるのが、ベルデイ作曲のイタリア歌劇「アイーダ」です。「アイーダ」の方が制作年代が古いので、ハリウッド映画の方が影響を受けているのかもしれません。スケールの大きさ […]

「タンホイザー」の精神性

ウィーンに住んでいた20数年前に、いったいどのくらいオペラを観たのか定かではありません。夕闇迫る頃になると決まって立見席の列に並んでいました。ドイツを代表する作曲家ワーグナーのオペラは、耳に心地よいオペラを何度か聴いた上 […]

「さまよえるオランダ人」の幽霊船

家内は大学で空間演出デザインを専攻し、卒業制作にワーグナー作曲による「さまよえるオランダ人」の舞台デザインをやっていました。そのイメージがあってか、ウィーン国立歌劇場で「さまよえるオランダ人」を観た際、舞台中央に大きな幽 […]

「フィデリオ」の灰色の壁

20数年前に住んだウィーンで爪に火を点す生活をしていた自分の楽しみはオペラの立ち見でした。ベートーベン作曲によるオペラ「フィデリオ」は、ストーリーが分かりやすく音楽も胸を打つものがあったので、何回も観ています。男装した主 […]

「ラ・ボエーム」の時代

プッチーニの作曲したオペラに「ラ・ボエーム」があります。イタリア歌劇の中ではよく演奏されるオペラのひとつです。今日職場でひょんなことからオペラの話になり、このリリシズムあふれる「ラ・ボエーム」を聴いた思い出を語ってしまい […]

デルフィ、オリンピア遺跡巡り

ギリシャでは、いくつかの遺跡にしぼって観に行くことにしました。帰国の日が迫っていたので仕方がないと思っていました。デルフィは山麓にあって、岩肌と神殿の柱が風景に溶け込んでいました。いわば自然と人工の産物の対比が絶妙な雰囲 […]

パルテノン神殿とプラカ地区

1985年の終わり、ギリシャのアテネにいました。あの頃はパルテノン神殿のすぐそばまで近づくことができました。神殿内には鎖が張ってあって入れませんでした。トルコの遺跡では柱の合間をくぐることができたのにパルテノン神殿はいか […]

エーゲ海シキノス島・サントリーニ島

紀行作家みやこうせいさんのお勧め、シキノス島はエーゲ海の島々の中でもマイナーな島で、観光船から海上で小舟に乗り換え、その小さな島へ着岸したのでした。レストラン兼土産店を営む海岸沿いの店に泊まることになりました。交通はロバ […]

ロードス島 壁に囲まれた広場

1985年トルコ・ギリシャの旅が3ヶ月になろうとしていました。ロードス島はアニメに登場するような名称が気に入って、滞在することにしました。ここで印象に残ったのは城壁です。ちょっとした広場があって、まるで舞台装置のような雰 […]

クノッソス神殿の奇妙な柱

昨年は柱を彫刻の要素として、ひたすら作りました。柱に興味を抱いたのはヘレニズム文化の影響かもしれません。そのヘレニズムより古い時代に作られたクノッソス神殿。小さなクレタ島にあるというだけで神秘性を持っています。極めつけは […]

嵐のクレタ島

1985年に旅したトルコ・ギリシャ。4月の個展が近づくにつれ、展示する作品の多くがこの旅でイメージを培われたことを思うと感慨一入です。2ヶ月以上に及んで滞在したトルコを後にして、ギリシャのクレタ島に向かったのは10月に差 […]

黒海を臨むキリスト教寺院

黒海沿岸のトラブゾンに到着したのはトルコに来て2ヶ月を過ぎていました。ここで印象深かったのは焼き魚でした。イスタンブール同様に港で魚を焼いていて、その一匹をタダで頂きました。よほど金銭がない旅行者に見えたのでしょうか。実 […]

チグリス河流域で彷徨う心身

学校で学んだ歴史に古代の四大文明があり、そのひとつがチグリス・ユーフラテイス文明です。そのチグリス河流域の町デイヤルバクルに着いた時は、頭痛と腹痛に見舞われ、ホテルに4日間倒れこんでいました。家内も同じ症状だったので、食 […]

ネムルト山登頂記

トルコの東アナトリアに位置する標高2150Mのネムルト山頂に遺跡があると聞いて、現地でミニバスツアーに参加しました。私たち夫婦の他に西欧から来た数人の旅行者がいました。小さなバスで山頂を目指し、やがて首のない5体の神像が […]

カッパドキア奇岩群

カッパドキアを知ったのは学生時代に神田の古本屋街で立ち読みした古い美術雑誌に掲載されていた白黒写真からでした。地球上のものとは思えない不思議な世界に驚いて、思わずその古本を買ってしまったのでした。そのカッパドキアに198 […]