浦和の「インポッシブル・アーキテクチャー」展

先日、埼玉県浦和にある埼玉県立近代美術館で開催中の「インポッシブル・アーキテクチャー」展に行って来ました。現代建築の中で完成に至らなかった斬新な構想や、提案だけになってしまった刺激的な企画など、過去を振り返るとアンビルドの建築の中に豊穣な潜在的構想を見出し、都市計画は単なる住居群や広場を作ることに収まらない深層的な空間を提供することを改めて認識した次第です。本展が企画に至った契機が図録にありました。「本展の構想が明瞭になったのは、2015年7月、コンペに当選したザハ・ハディド・アーキテクツ+設計JVの東京オリンピックのメーン会場となる新国立競技場のプランが白紙になったというニュースを聞いた瞬間であった。」(建畠晢著)身近なニュースとして記憶に残る事案もアンビルドの建築になったことで、改めて本展で競技場のユニークな構造を知り得たのでした。「キール・アーチ構造によるこのプランは流れるような曲面の屋根のふくらみを特徴とする有機的な形体で、ポストモダンがいわれて以降の建築で、デザイン的な要請と構造的な必然性とが合致した稀有の作例となるはずのものであった。」(同氏著)本展はこれに限らず、私を刺激する作例に溢れていて、たとえば荒川修作+マドリン・ギンズによる「問われているプロセス/天命反転の橋」もそのひとつでした。嘗て私は岐阜県にある「養老天命反転地」を訪れたことがあって、その系統に属する構築物であることはすぐ分かりました。本作はフランスのモーゼル河にかける橋として構想されたもののようですが、実現してはいません。さらに刺激的だったのはウラジミール・タトリンによる「第3インターナショナル記念塔」でした。これは別稿を起こそうと思います。出品作品を1点ずつ見て回って、「インポッシブル・アーキテクチャー」という意味をもう一度考える機会を持ちました。

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