不安定な心に創作が宿る

「不安定な心に創作が宿る」という表題を考えた契機は、ウィークデイの仕事にあります。不安定と言うような大袈裟なものではありませんが、ちょっとした心配事によってコトバが浮かんでくることがありました。彫刻やRECORDも、心のバランスを欠いた時に異様な緊張感に支配され、自分の代表作と言える作品が生み出されることがあります。全てが満たされた状態では、何かを訴える作品は生まれないのかもしれません。とりわけコトバは意思を伝達する手段でもあり、感情を吐露する表現として使われることがあるので、なおさら不安定な心の状態に敏感に反応するものだろうと思っています。詩人はそうした心の動きを捉え、言語表現にまで高めていける人たちを言うのだと考えます。さまざまな感情の襞を、肌理の細かいコトバ選びによって、人の心に入ってくる作品にまとめあげること、また異質なコトバとコトバをぶつけることで新しい世界を創出させることが詩人の本領だろうと思っています。不安定な心に創作の魂が宿ることが多いと改めて思いますが、過度な不安定な心では何もできなくなってしまうのではないかと一方で考えていて、傍から安定しているように見られていても、心の中では不安要素が渦巻いている状態が、創作活動にはいいのかもしれません。と言ったら、多くの人が不安を抱えているので、決して創作の魂が宿るのは特殊な状態ではないのではないかと思うのです。そのアンバランスを何とかしたいと望み、心の安定を得るために創作の道に邁進すること、それこそ自分が今までやってきたことかもしれません。

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