「近代美術史テキスト」を読み始める

現在読んでいる現象学の書籍を横において、美術に関わる不思議な書籍を手に取りました。ちょっと一服のつもりが読み始めたら、面白過ぎる内容に惹きこまれて、忽ち半分くらいまで読み進めてしまいました。それにしてもこれは文庫本くらいのサイズの全て手書きによる独特な書籍で、どこかの美術館のアートショップで購入した記憶があります。「近代美術史テキスト」(中ザワヒデキ著 トムズボックス)はヘタうまのイラストレーターとして活躍する中ザワヒデキ氏による著作で、印象派から始まり、現在進行形のアーティストまで取り上げた、大変分かり易い解説書としても楽しめる書籍です。まず「序」にあった中ザワ氏の歴史観に注目しました。「そもそも”歴史”とは何かと言いますと、それは過去の事実を受動的に記述する行為のことを指すのではなく、現在の目をもって、過去の本質を能動的に読み取る行為のことをいう筈です。~略~歴史とは、あるいはすべての人間の行為は、本来このように徹頭徹尾『現在の自分』から端を発するのだという視点に立って、本書を読んでいただければ幸甚です。」美術史を振り返る際に、たとえば印象派や野獣主義、立体主義等は当時どんな受け入れ方をされたのか、本書に「『これは絵ではない』と言われてまでも前進しなければならないという明確なヴィジョンを得た」という一文があります。現在の自分からすれば、こうして旧態依然とした体質を壊してきた芸術が新しい時代を作ってきたと認識していて、確かに過去の本質を能動的に読み取ることで、現在の自分の立ち位置を決めていると私も考えています。あっという間に読み終えてしまいそうな勢いで本書を読んでいます。近々感想を書きたいと思います。

関連する投稿

  • 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
  • 「《逸楽の家》」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「3 […]
  • 「結語」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「結語」の「1 木彫と陶器」「2 親密な環境における彫刻」「3 […]
  • 「状況-思考の神秘的内部を表すこと」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「1 […]
  • 「文化的総合」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「2 […]

Comments are closed.