横山崋山「祇園祭礼図巻」について

「『祇園祭礼図巻』がすごいのは、まずひとつには行列の情景や山鉾など詳細に記された記録的価値です。幕末の大火で焼失した山鉾も多くあるため、記録としての貴重さは増します。長い行列もすべて描き通している。しかもタペストリーの図柄など、はっきり細かい図柄まで表現されている。~略~記録的価値と同時に、やっぱり描き方のおもしろさというのが傑出している。アングルやトリミングを変えて、全体を見せたり、部分を見せたり、そういう変化を与えて長い行列を見る人に飽きさせないようにしている。このあたりの描写には非凡なものがあります。~略~この絵巻の記録が、山鉾復興に貢献しているものもあります。」(辻惟雄 談)先日出かけた東京ステーションギャラリーの「横山崋山」展で見応えのあった作品が、上下巻で全長30メートルにも及ぶ「祇園祭礼図巻」でした。これは崋山最晩年の作品で、横山崋山の再評価にも繋がる力作だろうと思います。また崋山の画業の集大成でもあると思いました。祭礼に群がる人々はいったい何人描かれているのか、そのひとり一人が全て異なった仕草をしていて、ずっと見ていて飽きない絵巻です。しかも保存状態も良く鮮明に残されているのが幸運でした。絵巻の中にあった薄墨を使って細密に描かれた「四条河原の納涼」や「祇園ねりもの」にも注目しました。祇園ねりものとは何か、図録に解説があったので引用します。「祇園の芸妓たちが、仮装した姿で花街を練り歩く仮装行列のことで、~略~祇園ねりものは芸妓の晴れ舞台で、旦那衆がスポンサーとなって贔屓の芸妓のために豪奢な衣装をあつらえた。番付を一つでもあげて、ライバルの芸妓に負けまいと、旦那衆はこぞって多額の金銭を援助した。さながら、現代のアイドル総選挙と重なる。」(八反裕太郎著)江戸風俗としても楽しい絵巻だなぁと思いました。

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