週末 映画「祈り 三部作」鑑賞

週末になりました。今日は創作活動を休んで、東京神保町にある岩波ホールに映画鑑賞に出かけました。家内は演奏活動があったため、私一人で丸一日をかけて映画を観てきました。現在、岩波ホールではテンギズ・アブラゼ監督の「祈り 三部作」と称した代表作品3本をまとめて上映しているのです。朝11時から夕方6時半まで、ずっと映画鑑賞しているのは至福の時間かなぁと思いました。内容は「祈り」(1967年)、「希望の樹」(1976年)、「懺悔」(1984年)の3本で、どれも印象の強い作品ばかりでした。映画と映画の間は総入れ替え制で、約40分の余裕があり、岩波ホールを出て軽食を済ませるのにちょうどいい時間でした。3本の映画は制作年代が異なり、10年前後を経て撮影されたもので、最も古い「祈り」は、モノクローム作品でジョージア(グルジア)にあるコーカサス山脈の険しい岩肌と、そこに点在する石造りの村々の荒涼とした風景が舞台でした。キリスト教とイスラム教という宗教の両側面を扱っていて、ナレーションは詩的な独白、抑えこんだコトバで物語が綴られていきました。私には難解な場面も散見されましたが、主張したい要素が象徴的に凝縮されていたような感覚も持ちました。これは日本初公開だそうで、「祈り」だけを観に来る鑑賞者もいたようでした。「希望の樹」と「懺悔」は嘗て岩波ホールで上映されたらしいのですが、私は初めてでした。2本ともアブラゼ監督の力量が遺憾なく発揮された秀作でした。「希望の樹」は村の古い因習や貧困のために、純真な若者である男女の愛が潰されていく物語でした。悲劇に終わる物語ですが、私には印象的な場面が残り、深く脳裏に刻まれてしまいました。若い頃旅した東欧やトルコ、ギリシャで接した人々の情の濃い交流を思い出しました。「懺悔」は全体主義の粛清の時代に、独裁者と翻弄される人々を描いたもので、ジョージア(グルジア)は旧ソビエト連邦を構成していた国だったので、反スターリンとも取れる寓話を作り上げたのでした。制作当時は公開は認められず、岩波ホールでは2008年になって上映しているようです。ジョージア(グルジア)映画と言えば、私は「放浪の画家ピロスマニ」を思い起こしますが、ジョージア(グルジア)に映画が誕生して110年にあたる今年、こんな企画をしていただき、日本とは宗教も文化も異なる国を知ることが出来ました。3本の映画とも詳しい感想は後日に回したいと思います。

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