制作休んで都内の展覧会巡り

夏季休暇で創作活動に本腰を入れているところですが、今日は一日制作を休んで、家内と都内の博物館や美術館に出かけました。一日3箇所の展覧会を巡るのは久しぶりでした。まず最初に訪れたのは東京上野にある東京国立博物館。マスコミでよく宣伝されている「縄文」展を見てきました。「一万年の美の鼓動」という副題が示す通り、貴重な縄文土器や土偶が多数展示されていて、日本人独特の美意識を改めて感じることの出来る絶好の機会でした。縄文土器は嘗ては考古学の資料くらいにしか扱われていなかったのが、芸術家岡本太郎の著した「縄文土器論」等で美的価値が認められるようになりました。美術作品として眺める縄文土器は、私たちの美的感覚を刺激し、燃え上がる生命力を読み取ることが出来ます。私は陶彫を作っているおかげで、古代人の造形力に人一倍強い感動を覚えます。詳しい感想は後日改めるとして、この日はお盆休みのため、博物館は大変混雑をしていました。午前中は入場制限もあり、会場内も大勢の鑑賞者で溢れていました。人を掻き分けて見た土器や土偶でしたが、人混みが気にならなくなるくらい展示品に魅せられてしまいました。次に向ったのが東京目黒にある東京都庭園美術館でした。ここで開催中の「ブラジル先住民の椅子」展も、縄文と同じ始原的な力に溢れた椅子の数々を見ることが出来ました。木彫による椅子は、家具なのか彫刻なのか、いずれにしても型はあるものの制作者の個性が感じられる作品ばかりでした。この動物を象徴的に模した椅子は現在も作られていて、新館には現在の作品が多数展示されていました。この展覧会も詳しい感想を後日改めたいと思います。最後に向ったのは東京六本木の森美術館でした。六本木ヒルズ52階にある森美術館は、ユニークな企画が多いため、いつも気にかけている美術館のひとつです。今回の「建築の日本展」も企画の面白さと大掛かりな再現展示で見応えのある展覧会になっていました。日本の建築ではなく「建築の日本」としたところにこの展覧会の意図があるように思いました。つまり副題にある「その遺伝子のもたらすもの」というわけで、現代日本建築の活況の淵源を、古代から現代に至る繋がりの中で見ていこうとする姿勢です。これも縄文と同じ日本独特な風土や資源、そして日本人の持つ造形力に焦点を当てている展覧会と言えると思います。これも詳しい感想は後日改めます。今日は内容の濃い3つの展覧会を見て回りました。それぞれのインパクトの強さに些か疲れました。3冊の重い図録を携えて帰ってきました。これからそれぞれの展覧会ごとに印象をまとめていこうと思います。

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