次なるイメージへ…

次なる新作のイメージは、現行の作品が佳境を迎えている最中に出てきます。私の場合は上空から降ってくるような感覚です。陶彫による集合彫刻は、相変わらず30年も前に旅した地中海沿岸の古代都市の遺跡が原点になっていますが、印象が鮮明だった初期の作品と照らし合わせてみると、イメージが少しずつ変わってきています。廃墟となった都市をイメージしていることに変わりはありませんが、自分の中で積み重ねてきたカタチと、初期イメージとの間でズレが生じていることも確かです。次なる新作のイメージは今までの作品を発展させたもので、「発掘~層塔~」や「発掘~群塔~」の範疇に入るかもしれません。つまり、再び塔を作ろうとしているのです。先月「発掘~根景~」を作っている途中で、床から立ち上がっていく陶彫部品が出来つつあった時に、床置きの高く積んだ景観を主題にした作品がボンヤリと降ってきて、しかも複数の塔が根で繋がっていく状態をイメージしていました。そこにコトバによる思索はなく、カタチそのものが現れてきていたのです。今までも自作に纏わるコトバは後追いです。私は思索することが大好きですが、思索からカタチを導き出す作家ではないと自覚しています。まずはカタチありきなので、浮かんだイメージをすぐに具現化したい欲求に駆られます。自分の胸中に少しの間イメージを寝かせることもしますが、紙にエスキースはしません。場合によっては雛形を作ることもありますが、個々の部品の角度を求めたり、全体構造に工夫が必要な時にだけ雛形を作っています。次なる新作は現行作品の梱包が終わり次第、取り掛かろうと思っています。

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