2点の印章を彫る
2018年 5月 25日 金曜日
私は予てより印章が持つ小宇宙に惹かれています。日本画や書を見る時に必ず印章にも注目しています。画家が創作する印章はとりわけ面白くて、小さな場面に個性が溢れんばかりです。単純だからこそ奥が深いのかもしれません。私も印章を作品証明とともに芸術作品として捉えていて、楽しみながら小宇宙に遊ぼうと思っています。昨年、台湾の故宮博物院を訪ねた時に、作品に押された印章に目が留まりました。その時は印章の歴史を学びたいなぁと考えていましたが、いまだにその勉強をしていません。古くは中国の戦国時代から秦の時代にかけて印章がカタチを成したようで、歴史を紐解くと面白いだろうなぁと思っています。しかしながら私の作る印章は、歴史的蓄積やルール無視のアートそのものです。自分の氏名を分解して、画面全体に線が縦横に走る抽象絵画にしてしまっています。まさに印章は版画です。文字の周囲を彫る陽刻と文字を彫る陰刻、そのどちらも採用していますが、最近は陽刻が増えています。これは自分の好みの問題で、陽刻がすっきり見えて自分の趣向に合っていると思っているからです。今晩から2つの印章を彫り始めました。1年1回のことですが、印床に印材を設え、印刀を振るうのは久しぶりでワクワクします。一晩でひとつずつ彫り上げていけば、来週末の図録撮影には間に合うかなぁと思っています。その時には若いスタッフが数人集まるので、組立てを分かり易くしておく必要があります。そうした便宜性と自分の楽しみを両立させるのが印章なのです。
関連する投稿
- 大型連休に向けて 公務員は暦通りの休日になるので、3連休のあと一日仕事に行って、また3連休といった飛び石連休になります。新作は5月8日(日)の図録用撮影日に向けて、大型連休をフルに使って仕上げに入ります。連休中は基本 […]
- 2つの新しい印を作る 石による印材に自分の名前を自ら彫り、新しい作品が完成した時に裏側に印を貼っていくのが、私が今まで続けてきた方法です。私の作品が集合彫刻で陶彫や木材で成り立っているため、その組み立てにそれぞれの部品に […]
- 次のステップに向かう6月 6月になりました。そろそろ入梅が発表されてもおかしくない季節です。6月も今まで同様、工房に勤務時間があるが如く決まった時間に通う予定です。今月やらなければならないことは個展の出品作品の修整補填で、厚 […]
- 21’RECORDの印について 一日1点ずつポストカード大の平面作品を作り続けて、かれこれ14年が経過しました。1年を365日として計算すると、現在RECORDは5000点を超える作品数になっています。RECORDは、私が毎年個展 […]
- 「突景」印のデザイン 少し前のNOTE(ブログ)に、「聚景」印のデザインというタイトルで新しい印を彫ったことを書きました。今回は「突景」印のデザインです。「発掘~聚景~」はやや大きめ、「発掘~突景~」は小さめの石材を選ん […]
Tags: 写真, 印, 版画
The entry '2点の印章を彫る' was posted
on 5月 25th, 2018
and last modified on 5月 26th, 2018 and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.