「発掘~根景~」と「発掘~角景~」

タイトルには簡潔な語彙を用いるのが私の作品に対する考え方です。そこに思索的な要素は入れずに、見てわかるようなタイトルをつけるようにしています。現在作っている2点の陶彫作品を「発掘~根景~」と「発掘~角景~」にしました。大きなテーブル彫刻を「根景」にした理由は、テーブルの下に吊り下がる陶彫は床にまで達していて、さらに床置きの陶彫から四方に伸びていく根幹を、そのままタイトルにしただけなのです。見た通りの単純なタイトルです。小さなテーブル彫刻を「角景」と名づけました。それはテーブルの下に吊り下がる陶彫の形状からタイトルを考えました。私は最初に形態イメージがあって、タイトルは後付けです。自分のイメージの根源を探っていけば、別のタイトルを思いつくかもしれませんが、イメージは記憶の蓄積から導かれるものなので、私にもこの作品のイメージがどこからきたものか見当がつきません。ただし、タイトルに「景」の文字をつけているのは、私が風景を意識しているからです。彫刻という西洋の概念や技法を学び始めた頃には、習作として人体を塑造していましたが、そのうち作品に風景を取り込むようになり、現在に至る世界が生まれました。タイトルの前に「発掘」をつけて連作を図っているのは、焼成した陶彫が古代の出土品を思わせる質感を得ていることに起因しています。私が彫刻作品に風景を取り込む契機となったのは、エーゲ海に広がるギリシャ・ローマ時代の都市遺跡を見たことによります。そこから40年が経過して、私の作品の方向が少しずつ変わってきました。今ではイメージの複合化が齎す楽しさを実感しているところです。

関連する投稿

  • 2018年版 印章のデザイン 毎年、印用の石材に自分の氏名を彫っています。今年は2点作る予定です。どうして新しい印章を作り続けているのか、私がずっと取り組んでいる陶彫による集合彫刻にその理由があります。今年は7月の個展で発表する […]
  • 週末 テーブルの上に広がる世界 週末になって、いつも通りの制作三昧です。このところ週末はよく雨が降ります。今日も工房の開け放した窓から時より雨が入ってきていました。朝から夕方までずっと陶土と格闘していて、充実した時間を過ごしました […]
  • 朧気な次作のイメージ 陶彫部品を組み合わせて集合彫刻を作っている自分には、陶彫部品を点在させて場の空間を創出するイメージがつき纏います。集合があるなら拡散があってもいいのではないかと思うところです。次作のイメージは拡散に […]
  • 2018個展の批評より (株)ビジョン企画出版社から発行されている「美じょん新報」は月々の展覧会情報が掲載されていますが、「評壇」欄では美術評論家瀧悌三氏による、端的で歯に衣着せぬ展覧会批評があって、私は常々参考にしていま […]
  • 「発掘~座景~」台座塗装開始 今週初めに窯入れした陶彫部品の焼成が終わって、今晩から電気を使えるようになり、夜の工房に通えます。週末だけでは完成に漕ぎ着くことが出来ない新作は、ウィークディの夜も制作を余儀なくされ、なかなか厳しい […]

Comments are closed.