映画「ぼくの名前はズッキーニ」雑感
2018年 4月 9日 月曜日
アルコールやドラッグ中毒、育児放棄、性的虐待、犯罪や移民問題など現代社会を取り巻く問題は、国が変われど、どこでも存在する困難な課題です。ましてや幼い子どもたちにとっては、その後の人生を左右する忌々しき問題です。子どもを主人公にして、そんな厳しい社会環境を描いた実写映画は、過去幾つかありましたが、先日観に行った「ぼくの名前はズッキーニ」は、同じ問題を扱ったストップモーション・アニメーションでした。三頭身の人形やその背景は、パステルカラーの美しい色に彩られたデザイン性に長けたもので、単純な造形だからこそ、逆に内容がストレートに伝わるものに仕上がっていました。主人公イカール(愛称ズッキーニ)は自分のせいで母親が死んだと思い込み、孤児院に連れてこられます。そこには既に5人の孤児がいて、当初は親分格のシモンにいじめられますが、次第に2人は心を通わせるようになり、親友になっていきます。そこにカミーユが入園してきます。カミーユも悲惨な成育歴がありましたが、ズッキーニはカミーユに恋心を抱き、子どもたちの絆は深まっていくのでした。シモンの機転でカミーユは意地悪な叔母から救い出される痛快な場面もありました。そのうちズッキーニとカミーユに養子縁組がやってきて…というストーリーはメランコリックであっても、明日への希望を繋ぐ印象を私に残しました。人形たちの大きな目がキョロキョロ動き、表情豊かな仕草にも愛らしさが感じられました。私は彫刻をやっているせいか、こうした作りものが大好きで、1コマ1コマを情熱を持って撮影されたスタッフにも拍手を送りたいと思います。
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