TV「よみがえる!太陽の塔」雑感

今晩9時にNHK BSプレミアムで「よみがえる!太陽の塔」をやっていました。2時間に及ぶTV番組でしたが、あっと言う間に見終わった感じがしました。大阪万国博覧会は、自分が中学生の時に開催され、家族で数回にわたって出かけました。こうした国際規模の博覧会は今でこそ珍しくなくなりましたが、当時は眼を見張るほど素晴らしい印象がありました。ただ人混みに圧倒されて、中学生の体力を持っていても疲労困憊した思い出があります。「人類の進歩と調和」というテーマでしたが、近未来都市は疲れるんだと思っていました。会場中心のテーマ館にあったモダンな屋根を貫く太陽の塔。芸術家岡本太郎の作品でしたが、内心あまり好きなデザインではないなぁと思いつつ、内部に入ると「生命の樹」に吊るされた、太古の生物を模した造形が強烈な印象を残しました。50年近く前になるのに、おどろおどろしい雰囲気は今も脳裏に焼きついています。一昨年に大阪府で、その再生計画が持ち上がり、太陽の塔の耐震改修工事とともに、若い造形作家や職人によって内部を修復、または新たに作り直すことにしたようです。番組はその制作過程を追っていて、私は興味津々でした。番組の中で紹介された岡本太郎の縄文土器に対する美術的な視点や、日本人の美意識のルーツを探す旅は大変面白いもので、岡本太郎が縄文土器の美を発見しなければ、私の発掘シリーズもどうなっていたのか分かりません。私も岡本太郎の著した縄文土器論を愛読した一人なのです。番組の後半で取上げられていた「地底の太陽」の半立体化した作品は美しいと感じました。現代はそこにプロジェクション・マッピングをやっているのを番組で知って私も見に行きたくなりました。調べてみると予約でいっぱいだそうですが、10代の私が圧倒された展示空間にもう一度立ちたいものです。

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