3月RECORDは「囲」

西欧を初めとする都市形成の歴史には、城壁によって他国の侵入を防いだことがあり、その囲まれた空間の中で人々は暮らしていました。都市の近代化にともなって古い壁を壊し、そこに道路を整備したため、旧市街と新市街が明快に分かれている都市もあります。農耕部落が広がって発展した日本の都市とは、明らかに異なる西欧の都市構造は、人々の思考にまで影響を及ぼしていると私は考えています。日本人は平面で物事を考え、西欧人は立体で物事を考えるというのが、20代の頃に西欧で暮らした私の雑駁な実感です。私が生涯をかけた彫刻表現は西欧に端を発したもので、生育文化の相違に折り合いをつけるのが、私には今も困難を感じるところでもあります。若い頃に暮らした西欧での学校生活を思い出すと、講義では思考を構築し、また論考を説明し易く限定していたように思えてなりませんでした。囲まれていた城壁のせいかなぁと私は常々感じていました。長い前置きになりましたが、今月のRECORDのテーマを「囲」にしました。このテーマを思いついた時に、西欧の都市が頭を過ぎったのでした。もちろん西欧の都市そのものを絵にするつもりはありません。RECORDは一日1点ずつ作り上げていく小さな平面作品の総称で、文字通り日々の記録(RECORD)です。西欧の都市構造がイメージの始まりとしても、1ヶ月のうちにはさまざまなイメージの膨らみが出てきます。今年は画面に一定パターンを決めて、RECORDを制作しています。毎晩、夕食後の食卓で鉛筆を走らせているRECORDが、下書きのまま山積されていくことがないように、その日のうちに仕上げまでやっていきたいと願っています。食卓には今も2週間くらいのRECORDの下書きが残っています。早くこれを何とかしなければと思いつつ、時間ばかりが過ぎていく現状です。今月も頑張ります。

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