友情のしるし、絵の交換

昨日のNOTE(ブログ)に書かせていただいた内容とよく似ている内容になりますが、現在読んでいる「触れ合う造形」(佃堅輔著 西田書店)の中に、表題にある画家同志の友情を取り上げている章があります。今回はロシア人画家同志が、お互いの絵を交換し合う中で育まれた友情に焦点を当てています。その画家とはカンディンスキーとヤウレンスキーです。アレクセイ・フォン・ヤウレンスキーは、ドイツ表現主義に代表される革新的な画家のグループが、1925年にアメリカのギャラリーで展示されることになった出品者の一人として、私は記憶に留めていました。抽象化された頭部を描いた彼の作品をどこかで見たことがあります。この章では画家同志がお互い作品を贈り合って刺激し合う中で、表現力を高めていく良好な関係が描かれていて、とりわけカンディンスキー夫妻とヤウレンスキー夫妻の訪問時の温かい交流や手紙のやり取りに、2人が心で支え合いながら新しい芸術を推進する原動力になっていると感じました。カンディンスキーはバウハウスの教授職に就いて安定した収入があったものの、ヤウレンスキーは経済的に困窮し、重病を患いました。そのため、カンディンスキーはヤウレンスキーの展覧会を企画し、絵が売れるように奔走したのでした。ナチスが台頭して2人が亡命を余儀なくされる中で、手元に置いていた同志の作品に対する思いを綴った一文があります。「ヤウレンスキーが《多様な水平線》と《褐色のなかの円》を選び、手離す気になれなったのは、1914年より以前のカンディンスキーの作品をとりわけ好んでいたからである。そして1920年以降の絶えざる経済的危機にもかかわらず、ヤウレンスキーは、ムルナウの一番大切な贈物である《インプロヴツィオーンのためのスケッチⅤ》と共に、戦争前カンディンスキーから贈られた作品を、ずっと大切に手元に置いていたのである。~略~それは生涯にわたって消えることのない友情の美しいしるしだったのである。」

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