映画「ゴッホ 最期の手紙」雑感

先日、常連になっている横浜のミニシアターに映画「ゴッホ 最期の手紙」を観に行きました。レイトショー初日だったためか比較的混んでいて、ゴッホの絵画を使った奇抜なアニメーションに関心が集まっているのかなぁと思いました。当初はストーリーより技巧の方に目が奪われるのではないかと思っていましたが、次第に内容に引き込まれていって、ゴッホの自殺を巡る原因や事実解明に、それなりの解釈を加えた映画だという感想を持ちました。内容は郵便配達をやっている父から、ゴッホの手紙をゴッホの弟であるテオに届けるよう、息子が託される場面から始まります。ところがテオはパリで既に亡くなっていて、息子アルマンはゴッホ終焉の地であるオーヴェール村を彷徨い、ゴッホ自殺の真実を求めていくことになるのです。今も謎の多いゴッホの生涯ですが、オーヴェール村で出会ったゴッホの主治医ガシュは何を語るのか、ここがこの物語の真骨頂かなぁと思いました。技巧に関しては本作の醍醐味になっていて、ゴッホの絵画に似せた油絵がアニメーションとして動きます。図録によると、本作はまず俳優が演じる実写として撮影され、それを基に1秒12枚の油絵を高解像度写真によってアニメ化されたものなのです。なんと62,450枚もの油絵が、各国から選ばれた125名の画家たちによって制作されたようです。図録には美術家森村泰昌氏による「絵画が動くという美術的な時間軸と、物語が展開していくという文学的な時間軸」という言葉がありました。日本人画家として制作に携わった古賀陽子氏の語るエピソードにこんな一文がありました。「何十とあるコマの途中に不備が見つかるとその箇所以降のコマを全て描き直さなければいけませんでした。そういう事が何度かあり大変でした。オーヴェールの教会のシーンを担当した際、オーヴェールの教会の模写をしましたが『似ているだけではダメ。かすれ具合なども全て同じにして』と上司に言われ、苦労しました。」本作は技巧的に渾身を込めた映画であることは疑う余地はありません。

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