平塚の「片岡球子 面構展」

日本画家片岡球子は豪快な作風で知られた巨匠です。享年103歳の大往生を羨ましく思っています。自分もその年齢まで創作活動が出来たらいいなぁと思います。先日出かけた平塚市美術館で「片岡球子 面構展」を開催していたので見てきました。自分にはどれも見慣れた作品でしたが、1961年作「幻想」を見て、改めて絢爛たる迫力を感じました。図録には「画面右の人物は、端麗な容姿を隠し、獰猛な面を付けて戦に臨んだという『蘭陵王』をあらわすもので、龍の面と勇壮な装束で描かれている。左は舞曲『環城楽』の舞人であり、奇怪な面を付け、右手にバチを握っている。『環城楽』は『見蛇楽』から転じたものといい、一説によると、蛇を好んで食べる西域の人が、蛇を見つけ喜ぶさまをあらわしている。」とありました。宮内庁楽部に通ってスケッチをした作家の思いが伝わる秀作だろうと思います。「面構シリーズ」は歴史上の人物の相貌の面白さもさることながら、服装の文様が美しいと私は思っていて、画面に引き込まれる要素になっています。型に嵌らないのが片岡球子流ですが、創作でクヨクヨ悩んだ時に見ると、ハッとする潔さを持っているため、自分には有効な刺激剤になるのです。片岡球子は教職との二足の草鞋生活を送ったことも知られています。「面構シリーズ」が始まったのが61歳、まさに現在の私の年齢です。ここから始まった代表作のシリーズとなれば、私にだって今後の展開があってもいいはずです。「片岡球子 面構展」は元気がもらえた展覧会でした。

関連する投稿

  • 平塚の「川瀬巴水展」 先日閉幕した展覧会を取り上げるのは、自分の本意ではありませんが、展覧会の詳しい感想を述べたくてアップすることにしました。画家川瀬巴水のまとまった仕事を見たのは、私にとって初めてではないかと思います。 […]
  • 再開した展覧会を巡り歩いた一日 コロナ渦の中、東京都で緊急事態宣言が出され、先月までは多くの美術館が休館をしておりました。緊急事態宣言は6月も延長されていますが、美術館が漸く再開し、見たかった展覧会をチェックすることが出来ました。 […]
  • 新宿の「モンドリアン展」 先日、見に行った東京新宿のSOMPO美術館で開催されていた「モンドリアン展 […]
  • 東京竹橋の「あやしい絵展」 先日、東京竹橋にある東京国立近代美術館で開催されている「あやしい絵展」に家内と行ってきました。ウィークディにも関わらず鑑賞者が多く、コロナ渦の影響もあってネットでチケットを申し込む方法は定着したよう […]
  • 甲斐生楠音「横櫛」について 先日、見に行った東京国立近代美術館の「あやしい絵展」では、日本美術史に大きく取上げられている有名な画家がいる一方で、マニアックな画家も多く、私が思わず足を止めた作品を描き上げた画家も、私には名に覚え […]

Comments are closed.