私の美術鑑賞について

明日から三連休になりますが、陶彫部品の仕上げと窯入れが制作のメインになると思っています。カメラマンが来てRECORDの1年間分の撮影も予定されています。美術館にも行きたいと思っていて、結構欲張りな三連休になります。美術館巡りは計画をしている今が一番楽しい時で、始まってみるとなかなか骨が折れる日になるかもしれません。今回は美術館へは自分一人で行くことになりそうで、家内やスタッフがいないと私は糸が切れた凧みたいになって常軌を逸することになるからです。次から次へ美術館を渡り歩くうちに、自分は別の世界に入ってしまい、疲れ知らずの人になります。全身が眼になって貪るように作品を鑑賞し、浮世離れした仮想世界に遊んでしまうのです。自宅に帰りつく頃には疲労で倒れそうになり、充満した感覚や思索の吐き出し口を探します。つまり、NOTE(ブログ)に展覧会の感想を毎回丹念にまとめているのは、自分の吐き出し口なのです。私なりの美術鑑賞は、まず美術館入口で冷静になるところから始まります。見たい展覧会は自分の中に知識を溜め込んでいる場合が多く、完全にフラットにはなれませんが、それでも先入観を持たないように努めます。音声ガイドは借りません。時に歴史的な背景などを語ってくれる利点はありますが、同時通訳はフラットな鑑賞の妨げになると信じているからです。作品は大きな構成だろうと構図だろうと、また微妙な細部だろうと気になるところしか見ていません。題名すら確認しないこともあります。コトバにするのは後追いになるので、誰かと一緒でもほとんど会話はしません。展覧会を見終わった後になって思索に耽ります。その参考にするのが図録です。学生時代は金銭がなかったので、図録を立ち読みして自分の雑記帳にメモしていました。今は図録が買えるし、NOTE(ブログ)があるので雑記帳は持たなくなりました。図録の文章はほとんど読みますが、主たる論旨を差し置いて、自分が気に留めた箇所に下線をつけます。それが枝葉であっても自分の創作活動との関係性で読んでいるため、自分の視点で捉えれば重要度が違うのです。NOTE(ブログ)にアップするのはそうした文章です。論評の筆者からすればズレた箇所であろうと思いますが、鑑賞にも論評の解釈にもルールはないので、私なりに図録を利用して勝手な持論を展開しているのです。

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