「国宝菁華」について
2017年 9月 19日 火曜日
夏に台湾に出かけた目的は、國立故宮博物院の所蔵する宝物を鑑賞することでした。宝物はどれもが素晴らしく、すべての作品を目に焼き付けておきたいと思いましたが、その数の多さに圧倒されて、所蔵品の資料を求めてミュージアムショップに駆け込みました。ショップでは日本語に翻訳された資料の中で所蔵品を網羅している書籍がないものか探してみましたが、全所蔵品を一冊にまとめることは不可能だろうと思いました。おまけに日本語の書籍が少なかったので、自分が興味関心を覚えた分野に限ってショップに並んでいたものを物色していました。「国宝菁華」は日本語に翻訳された冊子の中で「器物篇」と「書画・図書文献篇」の2冊がセットになっていて、重厚な装いが気に入りました。これには主だった所蔵品が掲載されていて、図版も鮮明だったので購入してきました。今も「国宝菁華」を飽くことなく眺めています。自分が興味関心がある西周晩期の銅製品に彫り込まれた古代文字の美しさが目に留まります。古代文字を使ってどんなことが書いてあるのでしょうか。先月のRECORDは「ひびく」というテーマでしたので、心に響いたこれらの作品を描きました。水墨画では誇張されたところがなく、精密な写実に基づいた描写が目立ちます。日本のデフォルメされた世界とは違い、現実の生活を描いているように感じます。しみじみとした味わいが漂っていて、歴史に裏打ちされた確かな表現力が伝わってきます。私たちが考える東洋的で高いレベルを持った作品群がここにあります。
関連する投稿
- 上野の「国宝 鳥獣戯画のすべて」展 緊急事態宣言が東京に出された時は、上野の東京国立博物館で開催中だった「国宝 […]
- 新作完成の5月を振り返る 今日で5月が終わります。今月は個展図録用の写真撮影が昨日あったために、これに間に合わせるために夢中になって制作に明け暮れた1ヶ月だったと言えます。31日間のうち工房に行かなかった日は2日だけで、29 […]
- 再開した展覧会を巡り歩いた一日 コロナ渦の中、東京都で緊急事態宣言が出され、先月までは多くの美術館が休館をしておりました。緊急事態宣言は6月も延長されていますが、美術館が漸く再開し、見たかった展覧会をチェックすることが出来ました。 […]
- 彫刻家として… 4月になりました。昨日は管理職退職辞令交付式に参加して、私の公務員人生にピリオドを打ちました。今まで職種を隠してきましたが、同じ職種の方々がこのNOTE(ブログ)をご覧になっていることもあり、今にな […]
- 東京の展覧会を巡った一日 今日は工房での作業は止めて、家内と東京にある美術館に出かけました。コロナ渦の影響で最近ではネットによる予約が一般的になっていて、入館時間も決められています。今日は2つの美術館、3つの展覧会を巡りまし […]
Tags: 展覧会, 散策
The entry '「国宝菁華」について' was posted
on 9月 19th, 2017
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.