週末 タタラと紐作りについて

週末になり、陶彫制作のために朝から工房に篭りました。真夏に比べると朝夕涼しくなりましたが、それでも日中は汗が滴るほど暑くなりました。今日の作業は土練りと陶彫成形のための準備に充てました。私の陶彫はひとつずつがかなり大きいものですが、基本は陶芸の技法と同じです。陶芸では手びねりで器を作るために、手回しロクロの上で紐状にした陶土を積み重ねていく方法を取りますが、これは主に円形の器を作るときに用います。四角い器を作るときは、陶土を平たい板にして、それを立ち上げていく方法を取ります。平たい板をタタラと言いますが、タタラを作るときは、陶土の塊の左右に木製のタタラ板を置いて、タタラ板の上を針金の糸で滑らしてカットするのが一般的です。私の陶彫は大きさはあっても、紐作りとタタラの混合によって制作していきます。タタラはタタラ板を使えるようなものではないので、塊を掌で叩いて薄く延ばしていきます。麺棒も使いますので、蕎麦打ちのような按配です。厚さは1cm程度にしています。成形後に5mmの彫り込みをするので、この厚さにしているのです。ビニールに包んで一晩放置すれば、ちょうどいい硬さになっています。ひとつ陶彫成形を作るのに、どのくらいのタタラが必要なのか予め計算しておきます。土錬機にかけて、さらに菊練りした陶土を、全部タタラにするわけにはいかないのです。タタラは構造的に弱いところがあって、場所によっては陶土を紐状にして補強をしなければならないからです。そのための陶土を残しておきます。陶芸と違い、陶彫は乾燥によって陶土が左右に引っ張られ、皹が出来ることがあります。陶彫はバランスよく乾燥が進む形態ではないので、そこを確かめながら紐作りで補うのです。それでも失敗はあります。初歩的なミスには口惜しい思いをしますが、最近はそれにも慣れてきて、昔のように落ち込んだりしなくなりました。今日は明日の成形に向けての準備に追われました。明日は4個目の陶彫成形作業です。

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