関西出張② 仕事の合間の散策

私が関西方面に行くことは滅多になく、現在の職場では1年1回しかありません。しかも3日間とも余裕のない仕事の行程なので、なかなか休憩時間を見つけるのは困難ですが、それでも何とか1時間程度は自由時間を確保しました。今日は京都にいました。昨年も行った細見美術館と京都国立近代美術館を見て回ることが出来ました。美術館が点在する平安神宮のエリアにやってくると、今年も京都にやってきたなぁとテンションが上がります。天気は曇り空でしたが、散策にはちょうどいい気候でした。細見美術館では「杉浦非水展」をやっていました。副題に「モダンデザインの先駆者」とありましたが、西欧で19世紀末に興った反アカデミズムの「ウィーン分離派」が杉浦非水の画業に影響を与え、杉浦は我が国初のグラフィックデザイナーとなったのでした。展覧会の詳細は後日にしますが、洒落た細見美術館の雰囲気と相俟って、杉浦非水ワールドが際立つ展示で魅了されました。次に京都国立近代美術館に立ち寄りました。「技を極める」というタイトルのジュエリーの展覧会をやっていました。私はジュエリーの展覧会はほとんど見ません。宝飾品に興味がないのです。それでもせっかく京都まで来たのだからという思いで、フランスと日本の両国の技を堪能させていただきました。その中で興味を持ったのは、陶や金属で動植物を模した日本の工芸による超絶技巧の数々でした。展示品の中に工芸家安藤緑山が作った牙彫による果物があり、高齢の女性が「これは東京中村屋で制作していたロクザンのことよ」と同伴の女性に説明していたのを耳にし、傍らで聞いていられなくなった私は「それは荻原碌山で、この安藤緑山とは別人です。差し出がましいことを言って申し分けありません。」とつい口を挟んでしまいました。次に私が向かったのは同館の上階で開催していた「戦後ドイツの映画ポスター」展でした。嘗て横浜で見たポーランドのポスターを髣髴とさせる表現があり、単純なタッチに強さを感じさせるものがありました。詳細な感想は後日に回します。僅かな時間を使って散策した京都の美術館でしたが、自分にはホッとできるひと時でした。

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