6月RECORDは「まざる」

6月のRECORDのテーマを考えたときに、多くの同質なモノの中に異質なモノが混ざるイメージがありました。それは人種であったり、障害の有無であったり、さらに目に見えぬ複雑な状況も考えられます。起源から遡って純粋を守っている民族は皆無です。他民族の血がどこかで混ざり、それでも環境がある程度影響して、長い期間に亘って混血がなかった民族は存在します。私たち日本人は島国という閉鎖的な環境があるので、その類いかもしれず、言葉で説明しなくても気分の共有が図れるのはその証拠と言えます。しかし世界がグローバル化している昨今、さらに時代の流れである個性化や孤立化が、日本人特有の気分の共有に微妙な影響を与えていることもあります。それでも長期的視野で民族間の「まざる」流れは続いていくでしょう。「まざる」前に摩擦が生じることは多々あります。それが戦争や紛争に繋がる恐れは常に存在します。民族は文化や宗教を纏って「まざる」ことを断固拒否することが少なくないからです。私たちが白に見えているモノが、他民族によっては黒に見えると主張されたことが暫しあります。と言うのも若い頃、私は海外で暮らしていて他国人と触れ合う度、俄に信じ難かったことが、今世界中で起きているように思えるからです。「まざる」というテーマを大きく捉え過ぎましたが、今月はこのテーマで頑張っていこうと思います。

関連する投稿

  • 3月RECORDは「囲」 西欧を初めとする都市形成の歴史には、城壁によって他国の侵入を防いだことがあり、その囲まれた空間の中で人々は暮らしていました。都市の近代化にともなって古い壁を壊し、そこに道路を整備したため、旧市街と新 […]
  • 次なる作品のイメージへ… 現在作っている新作が佳境を迎え、肉体的にも精神的にも苦しい状況の中で、私には次なる作品のイメージが降って湧いてくる癖があるようです。現行の新作は土台に砂マチエールを施し、また同時に土台を追加して制作 […]
  • 「心の旅人ケルト」について 「呪術としてのデザインー芸術民俗学の旅」(中嶋斉著 […]
  • 「言語都市・ベルリン」を読み始める 「言語都市・ベルリン」(和田博文・真銅正宏・西村将洋・宮内淳子・和田佳子共著 […]
  • 週末 若いアーティストの帰国 工房に頻繁に出入りしている若いスタッフは、既にアーティストといっていいくらいの存在感があります。彼女は大学院で先端芸術を専攻しています。昨年はインドネシアに留学していましたが、この夏も1ヶ月間ジョグ […]

Comments are closed.