高松の「ジョージナカシマ記念館」

先日、香川県高松に行った折に米国籍の日系二世であるジョージナカシマの記念館に足を運びました。木工家具作家であるジョージナカシマの作品は、私が最近知ったもので、その独特で自然のフォルムを最大限に生かした家具に忽ち魅了されてしまいました。デザイン性は日本人離れしていますが、自然の形状を受け入れて木材の美しさを引き出す手法は、ジョージナカシマが日本人の気質を併せ持っていると思えてなりません。それは彫刻家イサムノグチにも通じる美意識で、生粋の日本人である自分は、日本の内なる簡素で静謐な美に気づかされてしまう結果になりました。ジョージナカシマは1905年にワシントンに生まれています。同地の大学を卒業し、建築学士の称号を受けた後、フランスやイギリスに留学し、前半生は建築家として、後半生は木工家具作家として活躍していました。日本には度々訪れていますが、高松には1964年に彫刻家流政之氏の薦めでやって来て、地元職人たちの「讃岐民具連」と交流したことにより、日本での本格的な制作が始まったようです。1990年に他界した後も米国ニューホープと高松の桜製作所で、ナカシマデザインの家具が作り続けられているのです。そんなジョージナカシマの記念館が「イサムノグチ庭園美術館」の近くにあると知って、早速訪れたのでした。展示されている家具はどれも彫刻的でシャープな切れを持っていました。喫茶コーナーにあるナカシマデザインの椅子に実際に腰掛けてみましたが、そこで20分のビデオを見ていても座り心地が大変良く、普段使いの日用性もある優れた家具であることがわかりました。英語版の厚い写真集が欲しくなり、その場で購入しました。そこには娘さんであるミラナカシマ氏のサインがありました。

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