宗教とその影響について

宗教はどのように生まれてきたものか、それに関する専門書を囓ったことがなく、自分の思考が軽薄であることは百も承知で、このテーマについて書いてみます。先日観た映画「沈黙ーサイレントー」の中で、キリスト教と仏教が対峙する場面が会話に出てきていました。キリスト教はユダヤ教を元にした古代の新興宗教で、国際的視野を纏えた宗教だと自分は理解しています。ユダヤ教は民族閉鎖性があったため広まることがなく、逆にキリスト教はその教えを広く伝播できるように一工夫した宗教論理が周囲に容易に理解されたのでしょう。キリスト教を興した民族は宗教組織を作り、キリスト教を広めるべく世界戦略を練ったのではないかと察します。極東と考えられていた日本にも宣教師がやってきたのもその一端だったと考えられます。世界にはそれぞれ土地に根ざした宗教が存在し、当初外来宗教との間に摩擦があったと思われ、迫害等の悲劇を生んだのは想像に難くありません。宗教とは、かくも激しいものなのか、生育環境の中で宗教を重く受けとめていなかった自分は、宗教の捉えに驚くことが多いのです。宗教はまた人々の心を先導する要因もあり、生活習慣さえも左右します。時間や曜日の観念を持ち込み、休息日を設けたのもキリスト教です。現在キリスト教は世界的に見ても一番成功した宗教と言えそうです。自分は実家が仏教浄土宗の寺を菩提寺としていて、そこに墓地もありますが、母の所有する雑木林の中に小さな祠があって豊川稲荷を祀っています。自分も日本人固有の多神教徒なのだろうと思っていますが、親戚を初め周囲にはキリスト教信者も多くいます。20代の頃、西欧に住んで、そこで接した教会権力を見て、私はキリスト教と距離を置くことにしました。理屈ではなく自分にはキリスト教は馴染めないと判断したのでした。でも興味関心は人一倍あって、とりわけ造形美術の分野では積極的に宗教美術を理解しようと努めています。自宅の玄関にもキリスト正教のガラス絵が掛かっています。私は宗教的意味と芸術性を切り離して考えるようにしているのです。

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