週末 制作&映画鑑賞

今日の午後は映画に行きたいと思っていました。週末の制作では制作工程上のノルマがあるため、いつもより早く工房に出かけました。朝8時前に工房に入り、「発掘~宙景A~」の2段目に吊り下げる陶彫部品の彫り込み加飾をやり、続いて柱陶の仕上げを行いました。さらに土錬機を回して土を練り、大きめのタタラを5枚用意しました。ここまでやったところで午後1時になり、自宅に戻りました。今日のノルマ達成でした。今日は土曜日のためウィークディの疲れがあったのですが、モチベーションを持ち上げたまま、家内とエンターティメント系の映画館に出かけました。観たかった映画はM・スコセッシ監督の「沈黙ーサイレンスー」で、上映3時間にも及ぶ大作でした。原作になった遠藤周作著「沈黙」を、自分は高校生の頃読んでいたのですが、その時は物語の深層を理解できず、布教の困難さや踏み絵の意味すら分かりませんでした。西欧から宣教師がやってきて、江戸時代の人々にキリスト教の教えを伝える、でも士農工商という身分制度があった幕府による政治体制には合わなかったんだなぁと高校生の私は思っていました。概略は間違っていないと思うのですが、信仰とは何か、生きる道標をどこに見出すのか、という根源的な問いを考えることは出来ませんでした。私が宗教について初めて考えたのは20代後半の滞欧生活からで、とりわけルーマニアの村で体験した人々の素朴な祈りの姿が印象に残っていたからでした。キリスト教は哲学者の叔父や彫刻家の師匠が信じていたので、宗教としては身近ではありました。でもヨーロッパの古都で生活していると、カソリックの壮麗さに眼が奪われてしまい、キリスト教団の権力を見る思いがしました。ルターの宗教改革が起こったのも教科書で習った机上から離れたところで漸く理解できた次第です。キリスト教団は欧州に留まらず、世界的な布教を始めたため、極東の日本にも宣教師がやってきたのでしょう。他の宗教がそんな戦略を考えなかった時代に布教をしていたと言えます。映画では神父や隠れキリスタンが弾圧される側、幕府の役人が加害側として描かれていますが、世界の隅々にまでキリスト教に染めようとした教団の驚くべき世界戦略を考えた時に、果たして映画の描き方を一面で捉えていいものでしょうか。西欧でのカソリック権力が如何ほどだったのかを鑑みると、キリスト教を突っぱねた幕府は、保護主義的な不寛容ではあるけれど、一概に政策を嘆くのはどうなのか、それは私の考え過ぎでしょうか。これは収束のつかないことになってしまいそうなので、ここまでにしたいと思います。映画の詳しい感想は後日改めます。

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