週末 陶彫による橋の造形

今日は昨日と打って変わって好天に恵まれ、気温も20度近くまで上昇しました。工房周辺の紅葉が青空に美しく映えていました。朝から大学院生と制作に没頭し、我を忘れる時間が到来しました。今日は大学院生だけでなく、職場の人が水彩画を描きに来ていたので昼食の休憩時間は和みました。私は背の低いテーブル彫刻に置く陶彫部品の窯入れを行っていました。背の低いテーブル彫刻は、都市の雛型のような造形で、私は掘り込んだ地面からいくつもの構築物が突き出た世界を作ろうとしています。その構築物に橋を渡そうとしていて、陶彫で成形した橋を6体作ったのでした。橋は構造を剥き出しにしたイメージで、鉄骨で出来ているような造形にしました。画家松本竣介の代表作に「Y市の橋」という油彩があります。油彩に描かれた橋そのものはコンクリートですが、その上に鉄骨のような構造物があって、太い鉄骨の印象が強く残る作品になっています。Y市というのは横浜市のことで、今は繁華街になっている西区あたりの河川を描いたものではないかと言われています。その殺風景で寂寥感漂う画風が、自分の新作に影響しています。そんな風情の橋を6体作りましたが、橋の構造体を崩したり、欠損させてみたりして所謂建築模型とは違うものにしました。今日は新作の3回目となる窯入れで、水曜日の勤労感謝の日あたりで窯出しができそうです。やはり陶彫は焼成が命です。焼成後、窯から出した陶彫は、人の手が及ばない炎神の世界を旅した勇ましさが滲み出ています。私の混合する陶土は紫がかった濃い褐色になって私の眼前にやってくるのです。敢えて欠損させた無骨な橋が、この姿で私の前にやってくるのを今から楽しみにしています。

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