週末 制作を再開する
2016年 8月 20日 土曜日
昨日は疲労のためか工房に行っても制作が出来ませんでした。今日からいよいよ制作再開となりました。ただし、まだ体調は万全ではなく、作業ノルマになっている土練りと大きなタタラ作りだけをやってきました。今日は台風接近のため雨が降ったり止んだりする一日で、高校生の若いスタッフが夏休みの課題をやりに工房に来ていました。昨日よりいくらか涼しい気がしていましたが、作業を始めると汗が噴き出てきました。作業中の自分はどうやら疲労を忘れるようで、肩や腰の痛みを感じなくなるのです。これは不思議な状態で、さらに気持ちが入っていくと周囲を意識しなくなり、陶土と自分の間に緊張関係が生まれます。この状態は制作が進んでいることを意味しますが、そこまではいかないにしても久しぶりに陶土に触れた今日は、軽い緊張状態に入りました。疲労を抱えてのこの状態は、作業が一段落した時に心身の揺り戻しがあるらしく、その後遺症たるやとんでもないことになるのです。これはきっと自分特有のものかもしれません。素材が柔らかい陶土で、まるでカタチになっていないところからカタチを作り上げていく制作工程が、こんな精神状態を自分に齎すのだろうと思っています。木や石のように元々カタチがある素材や、金属のように製品化されたものであれば、彫ったり削ったり捻じ曲げたりしてイメージに近づけていきます。初めからカタチを持たない土は、自分次第でどうにでもなると考えている節が自分にはあります。木彫する時の精神状態は、陶土のそれとは異なります。木彫は木材の中にカタチを見出し、それを彫り起こしていく作業なので常に計算が必要です。彫り過ぎてはいけないという抑止力が効くのです。陶土は基本的にモデリングなので、木彫に比べると造形思考が解放されます。実際は窯に入れる大きさや厚みもありますが、自由さが他の素材よりあるのです。大きさもカタチも自分で決められるからです。そんな塑造の特徴を突き詰めていくと、自分特有な精神状態に入ってしまうのではないかと思っています。明日も続行です。