アジアの遺跡に思いを馳せて…

毎年私は夏季休暇の5日間を使ってアジア諸国を巡っています。今年で3年目になりますが、今年はインドネシアのボロブドゥール遺跡とその周辺を訪ねようと思っています。一昨年はカンボジアのアンコール遺跡群、昨年はタイのアユタヤ遺跡を見てきました。アジアの世界遺産を巡る旅行も3度目ですが、テロ等の世界情勢の急変があって、気楽な旅行というより無事に観光できたら幸いという思いが優先しています。私の作品のイメージの源泉は、20代の頃旅したトルコ・ギリシャのエーゲ海沿岸に広がる円形劇場や列柱が並んだ遺跡に由来しています。最近ではアジアの遺跡も脳裏を掠めていくので、イメージの上書きをしている傾向があります。古代の人々が構築したものを、そこの場で味わう喜びは格別です。自分のイメージに空気を呼び込み、その空間を歩いて捉えながら、摩滅した石壁に触れる楽しさは、創作意欲を刺激して止みません。そこは遥か遠い昔に人々の生活する場であったり、祈りの場であったりしたのでしょう。広場は大勢の人々が往来していたはずです。諍いに男たちが駆り出され、また農耕に勤しみ、子どもたちが戯れる場面もあったでしょう。現在では森林に閉ざされた遺跡群ですが、古代に思いを馳せて、心の中で時空を超えてみるのも一興かなぁと思っています。そんなイメージの膨らみや上書きを求めて、再び古代遺跡を味わってみたいと思っている今夏です。

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