漫画「ツァラトゥストラかく語りき」

先日、漫画によるフロイトの「精神分析・夢判断」を読んだばかりですが、同じシリーズでニーチェの「ツァラトゥストラかく語りき」があります。かつて和訳による「ツァラトゥストラかく語りき」本論を読み、神の死から培われる超人論や永劫回帰を知りました。これは哲学書とは言え、詩的発想が随所に盛り込まれたもので、私は四苦八苦しながら読破した思い出があります。このNOTE(ブログ)にも章ごとの拙いまとめを掲載してあります。ニーチェは論理がどんどん展開し、何か大きな構築物を作り上げる論法ではなく、矢継ぎ早に鋭い洞察を繰り出す哲学者かもしれないと、この時私なりに感じました。ニーチェという人を本当の天才の言うのかなぁと月並みなことを思ったりしました。この「ツァラトゥストラかく語りき」を漫画にすることは不可能ではないかと思いましたが、「まんがで読破 ツァラトゥストラかく語りき」(ニーチェ原作 バラエティ・アートワークス著 イーストプレス刊)を読んで、成る程こういうことかと納得しました。これはニーチェの著作をまるごと漫画にしているのではなく、宗教に対する懐疑や永遠回帰とはどういうものかをドラマとしてまとめているのです。哲学のエキスだけを教会で生活する神父一家や謎の女性を通して描いていく手法で、細かい部分は省いてありました。ただ、漫画で興味関心を抱いても、あまりに本論が異なるので、本論を読もうとした人は面食らうのではないかと思います。

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