漫画「精神分析入門・夢判断」
2016年 4月 14日 木曜日
出張先の駅の近くの書店に立ち寄った時に「精神分析入門・夢判断」という文庫本を見つけました。これは驚いたことに漫画です。フロイトの代表著作である「精神分析入門」と「夢判断(夢解釈)」をひとつにした物語で、言わばフロイトが医療として辿り着いた精神分析や夢の解釈、これをヒステリー症状等の精神医学に役立てていこうとするフロイトの生涯のエポックを描いています。精神分析という医学概念がなかった時代に、自分の妄想に囚われて病気にかかった気になっていると医師から囁かれていた精神疾患の患者は、当時随分辛い思いをしただろうことは想像に難くないところです。「まんがで読破 精神分析入門・夢判断」(フロイト原作 バラエティ・アートワークス著 イーストプレス刊)は、そんな患者を受け入れ、その中から発見される心理療法や新しい心の学問をフロイトが医学界に投げかける展開があります。本書は漫画という媒体を使って、フロイトの論文の詳細は省き、その大筋だけを追っていく形式にしています。論文を丹念に読んでいる者としては、極端な論理の飛躍があったり、唐突な場面があって驚きますが、本書が描こうとしたエキスだけは伝わってきます。この漫画を契機に歴史に遺る大著作に近づいていけたらいいのかなぁと思う次第です。
関連する投稿
- 「中空の彫刻」読後感 「中空の彫刻」(廣田治子著 […]
- 「《逸楽の家》」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「3 […]
- 「結語」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「結語」の「1 木彫と陶器」「2 親密な環境における彫刻」「3 […]
- 「状況-思考の神秘的内部を表すこと」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「1 […]
- 「文化的総合」について 「中空の彫刻」(廣田治子著 三元社)の「第二部 ゴーギャンの立体作品」の中の「第6章 タヒチからマルケーサスへ(1895~1903年)」の「2 […]
Tags: 書籍
The entry '漫画「精神分析入門・夢判断」' was posted
on 4月 14th, 2016
and is filed under note.
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
Both comments and pings are currently closed.