週末 傘寿記念リサイタル

今日は週末ですが工房へは行かず、朝から家内と東京上野の東京文化会館へ向かいました。叔父で声楽家の下野昇リサイタルがあったためです。「下野昇テノールリサイタル 傘寿記念 日本の抒情を歌う」と題されたポスターが小ホール入口を飾っていました。開演は午後1時半でしたが、早くから大勢の観客が並んでいました。叔父は小澤征爾指揮によるオペラや劇団四季にも出演していて、前のNOTE(ブログ)にも書いた通り、芸術を語れる唯一の親戚です。豊かで迫力のある声量が叔父の持ち味ですが、傘寿(80歳)となって、このリサイタルが最後になるのではないかと思っていました。ところが、歌曲が始まると、とても80歳とは思えない声量と表現力があって見事でした。テノール歌手は身体が楽器です。加齢による衰えはあるはずですが、それを補って余りある発声に驚きました。規則的な生活とスポーツによる体力温存、そして緻密に積み重ねてきた発声練習の賜でしょうか。伴奏者の無駄を省いた巧みなサポートにも拍手を送りたいと思いました。先日のNOTE(ブログ)に書きましたが、音楽は音だけが聴こえてはいけない、音が空間を作り、その中で風景が見えたり、深淵を覗いたり、そうしたイメージを紡げることが感動を齎すものと私は思っています。今回のリサイタルでも日本の情景が眼に浮かぶような瞬間が何度も訪れました。叔父は山田耕作、橋本国彦、團伊玖磨、尾高惇忠という4人の作曲家が作った歌曲を歌いましたが、私は現代性を持った尾高惇忠氏の音楽に面白さを感じました。作曲家ご本人も会場にいて、叔父に促されてステージに上がりました。立原道造の詩を朗読するような不思議な旋律に心が覚醒しました。濃密な時間を過ごせたことを幸せに感じた一日でした。

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