精神分析の誕生

現在読んでいる「フロイト入門」(中山元著 筑摩選書)の第一章「精神分析の誕生」のまとめをします。今でこそ精神分析は一般的に使われるコトバになっていますが、フロイトが生きた時代では如何ばかりだったか想像を巡らせています。職場によってはメンタルな問題を抱える職員がいて、カウンセリングを心理療法士より受けていたりして、精神分析学が医療として認知されている現状があります。研究の余地はまだありそうですが、心の病は現代人にとって増加の一途を辿っていると言っても過言ではありません。本書から、まず精神分析という概念がいつ頃使われたのか、その箇所を引用いたします。「フロイトの精神分析という概念は、ロマン主義的な魂の心理学の系譜につながるものである。フロイトが『精神分析』という語を初めて使ったのは、『神経症の遺伝と病因』というフランス語の論文で、1896年3月に発表されている。~略~この精神分析という語は、人間の心の疾患を科学的な方法で、とくに薬物や手術などの外科的な方法で身体に働きかけるという方法で、治療しようとする科学的な心理学の方法とは異なり、人間に精神を司る魂を分析することで治療しようとする試みを示すものだった。これは魂『プシュケー』を分析することで、心の病を治療できると考える方法だったわけである。」フロイトはフランスでシャルコーやベルネームに師事し、催眠術によって治療する方法を学んでいましたが、ウィーンに戻ってから新たな方法で治療を始めることになります。その箇所を引用します。「フロイトがフランスで学んだ催眠術による治療方法を放棄することによって、真の意味での精神分析が誕生するのである。」さらに発展していく精神分析に関しては次の機会に改めます。

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