三連休 窯入れの日

陶芸にしても陶彫にしても「陶」の醍醐味は最後の制作工程である焼成にあります。所謂窯入れです。私の工房は電力の関係で、窯にスイッチを入れると他の電気は使えなくなります。そこで三連休の最後は窯入れをしようと思っていました。ここから3日間は工房での制作はしないと決めて、夕方になって窯のスイッチを入れました。工房の窯は電気窯です。私がウィークディは公務員をやっている関係で、ずっと窯の傍にいられないことを考え、世話のかからない電気窯を選びました。「陶」の醍醐味は焼成にあると前述しましたが、パターン化された時間と温度で焼成している私は、その醍醐味を味わっていません。私は陶芸ではなく彫刻を作っているので、焼成に面白みを求めず、コントロールされた焼成で可としています。おまけに集合彫刻なので、尚更ひとつひとつの部品が個性的であっては困るのです。私の焼成に窯変はなく、釉薬も使わないので土と釉が織り成す景色はありません。それでも焼成された作品は、高音によって土が石化して鎧を纏った力強さが出てきます。醍醐味といえば、私の場合は最低の基準になりますが、以前はさまざまな実験を試みていた時期もありました。陶土にしても、単身ではなく割合を決めて混ぜ合わせると色味や強度が変わってきます。そこに釉薬をかけるとさらに変化が見られて、多くのテストピースが出来上がってきました。技術的には難しい貫入や油滴天目に憧れを持った時期もありました。しかしながら最初の志に従って、彫刻の一素材として「陶」を扱っていく方法に立ち戻って、焼成は基本的なものにしています。それでも無理な形態を作っているので、皹が入ることは暫しあるのです。私にとって陶彫とは何か、その答えはまだ見つかっていません。作品を作り続けることで、何かが見えてくるのではないかと期待しているところです。

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