週末 絵画から彫刻への意識変化

先週より2点目の新作に取り組んでいます。2点目の新作は絵画的なイメージからスタートしましたが、作業を進めていくうちに、これは絵画ではなく彫刻的な意識が働いていることに気づきました。若林奮先生が葉山の県立近代美術館に設置した「地表面の耐久性について」という野外彫刻と一脈通じるものがあると考えたのです。一面性しか表面に現れていない彫刻が、まさに自分が作ろうとしている新作なのです。自分のイメージには絵画ほどの自由性がなく、これは立体を真正面から見た状況ではないかと思い至りました。意識の中ではカタチ全体を把握することが出来ず、その奥に隠れた部分があり、それを掘り起こすことはイメージの上では不可能と判断しています。表面に現れた一面だけを造形することが自分に課せられたことで、自分にも測り知れない謎を表層から察していく彫刻作品なのです。そんなことを思い巡らせたら、制作に合点がいって、漸く快く作業を進めることが出来ました。今日は朝から夕方まで、ひたすら厚板に彫り込みを入れることに終始しました。彫り込みはまだ半分しか出来ていません。来週末に持越しです。作者にも全体が掴めない彫刻作品があってもいいのではないかと思っています。その意識が鑑賞者に伝わるかどうかはわかりません。作者の思索は思索のままで据え置かれても仕方がないところがあるし、別の解釈も成り立つのであれば、それでよしとしています。夕方工房を離れるときに窯入れをしました。焼成には3日かかり、その間は工房は使えません。ロフトを施工している業者は来週から来ないので、漸く焼成が出来るようになったのです。

関連する投稿

  • 週末 積み重ねる作業の合間で… 週末になりました。今日は雨模様で気温も上がらず、凌ぎ易い一日になりました。朝8時に工房に出かけ、明日の成形のためにタタラを用意したり、前の陶彫成形でまだやり残している彫り込み加飾を行ないました。週末 […]
  • 週末 制作&横須賀へ… 漸く週末がやってきました。冷たい雨が降る中、朝から工房に出かけ制作に没頭しました。このところ頻繁に来ている大学院生もいて、お互い作業に集中していました。今日の作業は午後3時までと決めていました。その […]
  • 週末 活動時間について やっと週末がやってきました。私はいつものように朝9時に工房に行って、夕方4時までの7時間を陶彫制作に費やします。作業が始まると忽ち時間が過ぎていく感覚を持ちますが、創作活動に邁進する7時間は本当に疲 […]
  • 胡弓演奏と彫刻制作 日曜日は家内が胡弓の練習に行く日です。私は工房に篭って朝から夕方まで彫刻の制作に明け暮れています。工房での制作が終わる夕方6時頃に、家内から連絡があり、駅まで家内を車で迎えに行くのが日曜日の日課にな […]
  • 週末 図録撮影に向けて 今日は早朝から工房に行き、「発掘~層塔~」の厚板塗装や印貼りをやっていました。窯出しもしました。いよいよ明日が図録撮影日です。工房スタッフ3人、家内に私、そこにカメラマン2人が来て、合計7人で撮影を […]

Comments are closed.