評壇より 「神秘感」について

先日送られてきたビジョン企画出版の新報に私の個展に関する文章が掲載されていました。短い文章なので書き出します。「古代遺跡発掘品に模した陶彫シリーズ第7回展。主は屏風7面と丘陵見立ての大台四体。他に尖塔、円頭の円錐形が多数林立。それら黒褐色の造形の迫力は従来通り。神秘感に満ちている。」という批評でした。これは好意的な批評と捉えています。毎回陶彫のもつ「出土品」的な雰囲気や表現の迫力を評価していただいていますが、今回は「神秘感」が加わりました。自分の作品は敢えて神秘性を狙うものではなく、寧ろ神秘性とは大局的な実体感や存在感を出しています。現代美術の潮流の中に、素材そのものを提示し、素材を駆使して何かを表現することを否定した動きがありました。「もの派」と言われたグループでしたが、そればかりではなく作為や加工をしないばかりか、創作行為さえ乗り越えようとしたグループもありました。自分の作品は、そこまでいかないため、まだ創作行為を留めていますが、作為に具象性はありません。作り込んでいくと意図しない何かが出てくるということでしょうか。素材の実体感を超えていくとすれば、技が練れてきた証拠で、これは歓迎すべきことかなぁと思っています。こうした批評を励みにして頑張っていきたいと思います。

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