もうひとつの彫刻イメージ

彫刻の新作に取り掛かる前に、現行作品の延長として湧いてくるイメージがあります。いくつものイメージが現れては消えていきますが、その中で頭に刻み込まれるイメージをひとつ決めて、新作にするための具体案をまとめるのが自分の流儀です。今まで自分はずっとそんな方法で作品にしてきましたが、現行作品の延長とは無関係に現れるイメージがあって、それも頭に刻まれて、夢の中で執拗に繰り返されているのです。以前のNOTE(ブログ)に書いた記憶がありますが、素材は廃品になった錆鉄です。牢獄のような鉄格子に寄り掛かる人体がモティーフですが、人体を形成するギリギリのところまで量感を削り取った痩せこけた彫刻です。頭部はありません。胴体にも穴が空いた屍状の人体になっていますが、鉄格子に捉まった手と床に立つ足はしっかり作っていて、そこに存在の意味を見いだそうとしているかのようです。どうしてそんなもうひとつのイメージに自分が囚われているのか分かりませんが、学生時代に塑造を自分なりに頑張っていたという自覚があるにも関わらず、充足感が得られていない自分の精神的な部分が、そんなイメージを呼び寄せるのかなぁと思っています。度々現れるイメージはRECORDにして記録していこうと思います。

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