「夢の問題に関する科学的文献」前半部分
2015年 7月 3日 金曜日
表題は「夢解釈」(フロイト著 金関猛訳 中央公論新社)の第一章に付けられたタイトルです。冒頭でフロイトは「私は夢の解釈を可能にする心理学的な技法があることを立証するとともに、また、この手続きを応用すると、すべての夢は意味をもった心的形成物であることが判明し、そして、それは覚醒時の心的営為の、ここと特定しうる箇所に組み入れられることを立証する。」と書いています。そこで夢の源泉を4つに分類しています。一つ目として外部からの〈客観的な〉感覚の興奮、二つ目は内部からの〈主観的な〉感覚の興奮、三つ目は内部からの〈器官からの〉肉体的刺激、四つ目は純粋な心的刺激源となります。そのうち四つ目にあたる心的刺激に関する箇所にこんな一文があります。「多数の研究者は~略~心的な要素が夢の惹起にどう関与するかという問題に決着をつけがたいせいで、心的要素が関与する度合いをできる限り縮小しようとする傾向を示すようになった。」これに対し「心的なものが私たちの当面の認識にとって終着点を意味せざるをえないのならば、心的なるものだからという理由でそれを否認するには及ばない。」とフロイトは結んでいます。ここに述べられているのは、夢の分析をするにあたって、外部や内部からの感覚の興奮や肉体的刺激に対しては立証しうるが、純粋な心的刺激に対しての立証が困難とする趣意です。ならば純粋な心的刺激をどう立証していくのか、今後の論考を待ってみたいと思います。