講演会「不揃いの木を組む」

今日も昨日に続いて一日出張で、神奈川県相模原市橋本で会議がありました。今日は神奈川県の管理職による総会で、午前中は昨年度の会務報告やら会計決算報告があり、今年度の計画や予算等が話し合われました。今日も自分は職場ではなく、直接開催場所である「杜のホールはしもと」にやってきていました。今日の会議・協議会の中で特筆できることがあったので、今回はこの話題を取上げます。午後から記念講演がありました。講演者は斑鳩の宮大工小川三夫氏。奈良県法輪寺三重塔再建工事や薬師寺復興工事に携わった人で、演題と同じ題名の著書もあるようです。職人の資質や修行に触れた講演で、自分は過敏に反応してしまいました。鑿を研ぐこと、鉋を扱うこと、もの作りの心得が、ものの道理というより感覚的な切れ味で自分の中に飛び込んできました。小川氏の許に集まった工舎の職人たちは集団生活を余儀なくされ、その逃げ場のない中で、お互いを知り、支えあう関係作りが成されるそうです。中途半端な知識を持って入舎してくる若者は、知識が邪魔をして成長を妨げる、器用不器用は関係ない、意欲の継続がその後の職人技を確かなものにする、細工だけの技術ならカタチが変わっていくはず、1300年前に建造された法隆寺のような寺院が変わらないのは、執念の技術があったればこそ、ホンモノを作っておけば解体された時にその真意が分かる等々、講演中の自分の走り書きを気の向くままに綴ってみましたが、何かものを作っていく上で大切な魂をいただいたような気がしました。さらに珠玉と自分が思ったコトバを綴ると、「煎じて煎じ詰めれば、最後は勘」、「木組みは寸法で組まず、木の癖で組め」、「木は生育の方位のまま使え」が挙げられます。何か心にズシンとくる講演会だったと思っています。

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