「風景の無意識」を読み始める

「風景の無意識 C・Dフリードリッヒ論」(小林敏明著 作品社)を読み始めました。ドイツ・ロマン派の画家フリードリッヒは、自分が大好きな巨匠の一人です。廃墟が風景画の主題に多く選ばれるところが気に入っていて、その暗く立ちこめた不安を感じさせる広大な風景画に惹きつけられています。本書の内容は単純な批評ではなさそうで、フロイトやハイデガーの名が出てくる章があり、ドイツ思想史と深く結びついた興味ある理論が展開されているのではないかと自分は期待感を漲らせています。フリードリッヒの絵画を論じる際に、直接的・間接的視点の双方から分野を超えた思索を入れ、奥行きを持たせ、また立体的に構築する理論を自分は歓迎します。美術は美術だけにあらず、創作の動機や時代背景や思想を照射して理解され、分析されてこそ多面的な評論が成り立つと考えています。そんな自分の知識欲を満たしてくれる本書を、通勤時間を使ってじっくり読んでいきたいと思います。

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